改良住宅をめぐる議会の行方


昨日6月29日は6月定例会の主な議案の採択を行う本会議でした。

議会経験もこの6月議会で丸2年、つまり2度目を迎えるわけですが、いまから振り返るとこれほど大変長い一日になるとは想像していませんでした。

流れを振り返ると、いつものように10時幹事長会、11時議会運営委員会、ここまでは良かったのですが、→数度の暫時休憩→議会運営委員会終了、16時50分本会議で21時までの時間延長→休会、19時本会議再開→21時30分本日分を閉会。

 

通常であれば11時の議会運営委員会を経て、14時の本会議で議案採択し終了というのがざっとした流れなのですが、大きく立ちはだかったのが改良住宅やコミュニティ住宅などに関する家賃を従前の定額制から応能応益負担制度に変更を求める条例についての行方でした。

 

3月に議会に上程されたこの案件、私も所属する市民環境委員会の予算決算委員会の部門で審査されたのですが、住宅家賃の賃上げについての住民説明が十分にされていないことに加えて、現場である改良住宅の空き家適正管理などの周辺の環境を整えてから行うべきではないか等の声が議会から上がり、3月定例会では継続審議となりました。実際、私も当時の予算決算委員会総括質疑で市長に質問し、「現場を見ていない」という市長の回答に対して「市長は担当課長からの報告を受けるだけではなく、この案件の現場に足を運び、住民の声を聴いて欲しい」という要望をしました。

 

そして、3ヶ月後の今回の6月定例会。継続となっている39号、40号、41号、附属する請願10号について再び予算決算委員会市民環境分科会で審査され、全体会である6月25日の予算決算委員会では私の所属する自民党会派をはじめ多数が議案を可決するべきとの採択をしました(なお会派で出した結論とは別に、私は継続審査するべきではないかという意見でした)。

 

しかし、週末をはさんでの本会議で自民党会派では継続動議に賛成し、現行の議案に反対する意見で統一されることとなりました。委員会と本会議で態度が変わるということは会派としての意見が迷走していると書かれても致し方ありませんが、そもそも3月の時点、そして6月の自民党会派の代表質問等でも、会派としては一貫して賃上げの前に改良住宅等でごみ屋敷等の防災上の危険家屋が存在し、これら環境が整えられてから議案を可決するべきという論陣を張っていました。

 

今回他にも請願10号の提案者である柿本議員より家賃改定などの修正案が出される案もありましたが、幻の案となり、都合により上程されることはありませんでした。

 

この日、延長を打ち19時から始まった本会議で投票は計5回でした。
議案のナンバーについては市議会ホームページの議案書を参照ください。
http://www.city.nara.lg.jp/www/contents/1424325345145/index.html
① 予算決算委員会での採択に対して、継続審査を申し出る再付託の動議(柿本議員)
② 議案39号、41号の委員会修正案についての採択
③ 議案39号、41号の修正可決した部分を除く原案について採択
④ 議案40号について採択
⑤ 請願10号について採択

 

38名の議員のうち議長を除く37名の賛否が投じられます。通常であれば、賛否が分かれる場合は賛否を起立採決で問います。一方、全員一致があらかじめ予想される場合は簡易採決で行います。

 

ところが、今回は第三のケースです。すなわち、事前の打ち合わせで賛否が拮抗していることが予想される場合です。このような場合は、議員名の入った白票と青票を選んで壇上で投票を行います。①~⑤の採決の結果はいずれも19票対18票で、いずれも改良住宅やコミュニティ住宅の条例改正を前に進めることを議決する内容となりました。

 

議案の関係上5回、約1時間にもわたる投票行動になったわけですが、ここまで僅差で意見が割れる中で可決した条例について、市長を先頭とする執行部には3月と6月の両議会で議会から出た様々な意見、すなわち市民からの代弁の声に耳を傾け、現場に反映していただきたいと思います。

 

kairyou

(写真は古市町内の改良住宅。2015年3月7日撮影時点では空き家にゴミが山積していた)

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